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【2/2】「江戸川区子ども・子育て支援事業計画(案)」に関する提言提出

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「江戸川区子ども・子育て支援事業計画(案)」について、江戸川子どもおんぶずとしての提言を以下のようにまとめ、江戸川区子ども家庭部に提出しました。

 
江戸川区子ども・子育て支援事業計画(案)に関する
江戸川子どもおんぶず 提 言
 
2012(平成24)年8月、「子ども・子育て支援法」「認定こども園法の一部改正」および「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の子ども・子育て関連3法に基づく制度である『子ども・子育て支援新制度』(以下、新制度)が誕生しました。
内閣府によると、子ども・子育て支援の基本指針は「『子どもの最善の利益』が実現される社会を目指すとの考え方を基本とする」とされており、「障害、疾病、虐待、貧困など社会的な支援の必要性が高い子どもやその家族を含め、全ての子どもや子育て家庭を対象とし、一人一人の子どもの健やかな育ちを等しく保障することを目指す」とあります(内閣府子ども・子育て支援新制度施行準備室・2014年10月)。
江戸川区では、2009(平成21)年より「子ども・子育て応援会議」を実施し、2013(平成25)年10月には「江戸川区子ども・子育て支援事業計画策定のためのニーズ調査」(以下、区ニーズ調査)が実施され、ホームページなどをとおして広く公表いただいています。
この度、本年2015(平成27)年4月の本格施行を前に、江戸川区より、「江戸川区子ども・子育て支援事業計画(案)」(以下、区事業計画案)が出され、パブリックコメントが募集されました。
私たち江戸川子どもおんぶずは、2001年の設立より今日まで、国連・子どもの権利条約の普及と子どもの声をさまざまな場面に活かしていくことをミッションに活動してきましたが、本区事業計画案に対するパブリックコメント募集に対し、日本も締約国として批准を果たしている国連・子どもの権利条約に照らし合わせ、とくに「地域での子ども・子育て支援の充実」に焦点を絞って、子どもの権利の視点からいくつかのコメントを提出いたします。
以下、江戸川区の事業計画案が、新制度の基本指針に則り、すべての子どもの最善の利益を保障するものとなることを願って取りまとめました。どうかご高覧いただき、区事業計画案に反映いただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
 
 
Ⅰ.計 画 策 定
 
提言1.区事業計画の基本指針・目標の設定と明記を求めます
⇒ 子どもの権利条約第3条、第4条
 
今回の区事業計画案には、その冒頭で「計画策定の考え方」が掲載され、区事業計画案策定に至る経過と区事業計画の位置づけが記されました。しかしながら、新制度に際した江戸川区としての基本指針および目標が記されてはいません。事業計画の策定においては、まずは基本指針が置かれ、次に具体的な目標が示され、そのもとに計画策定がされるのが原則かと思います。計画策定における考え方が掲載されることには賛同しますが、同時に基盤となる基本指針と目標が明らかになって示されることを望みます。
なお、内閣府では新制度の基本指針に「子どもの最善の利益が実現される社会を目指す」とあります(内閣府子ども・子育て支援新制度施行準備室・2014年10月・21頁)。江戸川区においても、区事業計画がこの内閣府の示す基本指針に沿って定められ、かつ区事業計画案の冒頭に明記されることによって新制度の理念が活かされることを希望します。
 
提言2.区事業計画の基本指針・目標の設定と明記を求めます
⇒ 子どもの権利条約第3条、第4条
 
区事業計画案によると、本案は、「江戸川区次世代育成支援行動計画」に続くものとして位置付けられています。江戸川区次世代育成支援行動計画は、2003年に制定された「次世代育成支援対策推進法」に基づき、2005年4月から前期・後期に分けて実施されてきました。
江戸川区次世代育成支援行動計画・後期計画はこの3月末で終了し、区事業計画に引き継ぐにあたり、江戸川区次世代育成支援行動計画で実施した事業の総括をいただきたいと思います。何が達成され、何が課題として残ったのかを知らされることがなければ、本区事業計画に継承されているかどうかの判断もできません。江戸川区次世代育成支援行動計画の事業評価の公開と区事業計画案への反映点をお示しください。
 
Ⅱ.江戸川区の子どもと家庭を取り巻く状況
 
提言3.区ニーズ調査結果の分析と寄せられた声に基づく事業の実施を求めます
⇒ 子どもの権利条約第4条、第12条
 
2013年10月に、0~6歳の就学前の子どものいる保護者を対象としたアンケート調査「江戸川区子ども・子育て支援事業計画策定のためのニーズ調査」が実施されました。この結果は、公式版と概要版ともに公表されています。この区ニーズ調査は、35の設問がたてられ、選択式と自由記述式で回答を求めています。区ニーズ調査結果をみると、自由記述欄にじつにたくさんの声が寄せられており、子育てがしやすい江戸川区にも部分的に課題が残っていることや、子育て世帯の切実な願い、次なるニーズが寄せられていることがわかります。これは、区事業計画に対する期待の高さとも一致すると感じます。
しかしながら今回、区事業計画案には区ニーズ調査結果のうち子育ての状況を概観するもののみの掲載に留まり、子育て世帯からの声の分析や江戸川区における課題について掲載が見られません。これでは区ニーズ調査結果と区事業計画案が相関されないものに見えてしまいます。
例えば、今後も江戸川区で子育てしていきたいと答えた比率は90%にもなり、前回の類似調査と比較しても引き続き安定した指標を得ていますが、子どもが0歳児の家庭に限ってみるとポイントを減らしています。これは子どもの年齢によって事業格差が起きていることを示しています。0歳児やその家庭を対象とした事業実施に不足があるように思えます。
また、評価が悪く出た上位5項目のうち、区事業計画に盛り込めるだろう内容は見受けられます。「子育てと仕事の両立の支援環境の整備」「子育てに協力・支援する地域づくり」「子どもにとって安心・安全な環境整備」については、あらゆる事業においても意識して補完していくとともに、独立した事業を実施して重点強化されるべきだと考えます。
ほかにも、区の子育てひろばを現在利用していないと答えた人は65%にのぼりますが、うち43%は利用したいと思っています。利用したいと思いながら利用できないでいるという意味ですので、何らかしらの要因が利用を阻んでいるのだと思われます。アンケート自由記述欄には開園時間が希望に沿わないことや歩いていける距離にないことも挙げられています。より詳細に分析し、利用したいと思っている人にやさしい事業展開になるよう求めます。
さらに、保育・子育て支援サービスとしてメール配信やSNSの活用も言及されています。これは現代的かつ今後さらに期待される事業だと考えます。すでに防犯メール配信はされていますし、江戸川区公式のtwitterやfacebookはありますが、子育てに特化していないためか配信のみのスタイルのせいか、区ニーズ調査の中でも声があがっています。
そして、学童クラブ事業(学童保育およびすくすくスクール)に対しては、今回の区ニーズ調査だけでなく数年にわたってさまざまな形で保護者の声が寄せられています。本新制度は、すべての子どもの一人一人の健やかな育ちを等しく保障することを目指すものです。これは事業の一律展開という意味ではなく、一人一人にふさわしい事業が子どもの育ちに合わせて行われることを意味すると、私たちは読み解いています。まずは、寄せられた声をしっかりと受け止め、区民から必要とされる事業の迅速な実施を求めます。
以上、区ニーズ調査の結果を「区事業計画Ⅱ」に位置づけていただくとともに、区ニーズ調査結果から何を読み解き、どう区事業計画案に活かしたのか、本章にはっきりと示していただきたく思います。
 
Ⅲ.江戸川区子ども・子育て支援事業計画
 
提言4.利用者支援事業の基本方針の公開と設置場所の変更を求めます
⇒ 子どもの権利条約第2条、第24条、第26条、第27条
 
「利用者支援事業」(3-1)は、本制度の柱のひとつといわれています。地域の実情に即した利用者支援事業の展開が期待されますが、現在の文面だけでは、区がこの事業をどのように位置づけ、今後どのように実施していこうとしているのか、残念ながらまったく見えてきません。したがって、コメントを出すことが叶いません。ぜひ早急に方針を公開していただき、広く区民の意見を聴取していただけたらと思います。
また、利用者支援事業の設置箇所については、区内6か所の「共育プラザ」(児童館)と「江戸川区子ども家庭支援センター」の計7か所に設置されるとあります。共育プラザについては、アクセスが不平等であることはこれまでもいわれているところで、新制度の重要事業である利用者支援事業の設置場所としてふさわしいとは言えないと考えます。設置分布は行政区分とも異なり、家庭、学校、地域、職域その他の機関とともに、相互に協力して行うことを困難にさせることが予想されます。設置については、乳幼児健診でも通い慣れる「健康サポートセンター」(保健所)に差し替え、アクセスの不平等をなくし、地域の特性を生かした事業展開を、利用者にとってより身近な場所で行われることを希望します。
 
提言5.学童クラブ事業の事業展開の詳細な説明を求めます
⇒ 子どもの権利条約第18条
 
学童クラブ事業(学童保育およびすくすくスクール)(3-8)は、これまでも、多くの保護者から不安の声と具体的な改善を求める声が寄せられてきました。それにもかかわらず、今回の区事業計画案ではそれらの声に応える記載は見られず、今後、どのように事業展開されるのか理解できません。
とくに学童保育に関しては、「民間事業者との連携を図る」とこれまでにない記載があり、不安が募る一方です。学童クラブ事業については、とりわけ詳細な説明を要望したく思います。
 
提言6.江戸川区子ども・子育て応援会議の継続を求めます
⇒ 子どもの権利条約第12条
 
関係者の連携および協働(4)は、本制度を進めていくうえでは欠くことのできないものとして、子ども・子育て支援法でもその記載が重ねて登場します。連携の目的は、区事業計画案に示されたとおり、事業の質の向上および地域の実情に応じるためだと私たちも考え、同意します。今後も、江戸川区で行われている横断的な仕組みや地域力を活用され、連携と協働の充実を図っていただきたく思います。
これに際し、「江戸川区子ども・子育て応援会議」を継続していただきたく思います。内閣府の資料を読みますと、市町村が事業計画を策定する際に設置した地方版子ども・子育て応援会議は、計画を策定すれば解散するということではなく、施策の実施状況を見守り、調査審議するなど、継続的に点検・評価・見直し(PDCAサイクル)を行う役割を担うことも期待しています。第三者としてのまなざしをもつこの江戸川区子ども・子育て応援会議をぜひ継続いただき、子どもや子どもの代弁者がその声を表明する場を確保し、相応に考慮され、事業の質のさらなる向上とより地域に即した実施をめざしていただきたく思います。
 
提言7.新制度におけるすべての認定こども園の質の確保と責任ある区立幼稚園・区立保育園の運営の継続を求めます
⇒ 子どもの権利条約第4条、第18条
 
認定こども園制度(5)については、具体的な設備や運営の基準、手続きや方法について、国からまだ示されておらず、区事業計画案にあるとおり不透明なところも多いのが実情です。
しかしこれまでの段階から推測すると、今後、認定こども園をめぐる諸制度が施行される際には、施設によって職員配置や施設条件等の基準に差が生じることが予想され、それによる保育の質に格差が出ることが懸念されています。少なくとも現行の水準を下回らないよう、区としても留意していただきたいと思います。
併せて、このような状況からもますますをもって区立幼稚園や区立保育園の替えがたい役割が明らかとなっています。代替することはできません。また、この役割を実行する責任から逃れることは、子ども・子育て支援法の基本理念と反目するものです。閉園等による役割の放棄がこれ以上なされないことを切に希望します。
 
Ⅳ.その他
 
提言8.18歳までの子どもを中心に据えた区事業計画を求めます 
⇒ 子どもの権利条約第1条、第2条、第4条
 
新制度は、子どもと子育てを支援するための制度で、子どもを中心とした事業も期待されるところです。子ども・子育て支援法第6条においても新制度が対象とする範囲を「十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者」と規定し、すべての子どもの健やかな成長を願っています。これは、児童福祉法や国連子どもの権利条約の精神に適うものです。
一方、現在の区事業計画案では、子育て支援(親支援)と関係機関との協働および民間事業者の促進が主たる事業になっており、子どもの年齢も乳幼児と小学生年齢の範囲に留まっています。江戸川区においても、子どもの範囲を的確に捉え、年齢による差別が起こらないよう、事業実施に配慮いただきたく思います。
 
提言9.特定の子どもが対象から漏れこぼれることのないようにふさわしい配慮を求めます
⇒ 子どもの権利条約第2条、第23条、第30条
 
子ども・子育て支援法では、すべての子どもの健やかな成長のために事業が実施されることが繰り返し謳われ、新制度で特定の子どものみを対象としていくことのないよう求めています。
しかしながら今回の区事業計画案においては、すべての子どもを対象としていくための具体策が見受けられません。例えば、学童クラブ事業は「希望者は全員受け入れ可能」と記載されてはいますが、現在の現場においてはさまざまな制限がなされており、これらの実情から考えるとこの実現は容易ではないかと思います。どのような具体策を実施される予定なのか、書き添えていただきたく思います。
また江戸川区には、インドをルーツとする子どもも多く居住するなど、国籍や出身地の異なる子どもを対象にした区事業計画の実施も期待されます。種族的、宗教的もしくは言語的マイノリティにあたる子どもやその保護者であっても差別されることなく、むしろ積極的な事業展開によって、共におなじ地域に暮らす構成員であることが呼びかけられてほしいと思います。これは、障害など特別なニーズをもつ子どもやその保護者にも同様です。
 
*  *  *
 
最後になりましたが、子ども・子育て支援法第2条(基本理念)で示されるように、社会のあらゆる分野におけるすべての構成員が各々の役割を果たすべく、江戸川子どもおんぶずもその一端を担うことを自覚し、子どもそして保護者の声を聴き、その声を活かすために、地域の諸機関と連携し、すべての子どもの健やかな成長を願い、地域の実情に応じて、総合的かつ効率的に実施していきたく存じます。
江戸川区においても、江戸川区子ども・子育て支援事業計画をとおして、子どもの最善の利益のため、あらゆる措置がなされることを強く期待します。どうぞよろしくお願いいたします。
 
以上。
 

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